今日のワッキー

ボルダリングと言葉

そういえばだけど、この間の月曜日に初ボルダリングをして気になったことがある。それは、ボルダリング特有の用語や掛け声があるということだ。これは正直、どのスポーツにもあることだと思う。サッカーだったらナイスシュートのことを「ナイシュー」と言うし、野球だったらナイスピッチングのことを「ナイピ」と言ったりする。

ボルダリングをしてまず気になったのは、いい動きをしたときに「ナイス!」と声をかけること。このこと自体は別に変でもなんでもない。僕が気になったのは、イントネーションである。
普通の「ナイス」だったら、アクセントは「ナ」だ。イス。しかし、ボルダリングのときは、「ス」の母音。つまり、ナイスゥー、となる。僕にとってこの掛け声は、中学生の女子の部活(球技)を想起させる。

そして次に気になったのは、すべらないように手につける白い粉。僕の中では、あれは「石灰」だ。申し訳ないけれど、石灰以外にない。ボルダリングをするときに、「石灰」は「チョーク」に変身する。
おいおい、チョークは黒板のあれだろ。もしくはビリヤードする時にキューの先端につけるあれ。かっこよくチョークなんて呼んじゃって。

…と、ここまで書いたけれど、気になって調べてみたら、どうやらチョーク=石灰ではないらしい。チョークと一口に言っても、石灰の成分が入っていないだけじゃなくて、それぞれ売りにする成分を入れたり入れなかったりしているみたいだった。一瞬で前言撤回。撤回って言葉は、便利だね。どこぞの国の大臣が配慮のない言葉をつい口にして、撤回しているけれども。

こういう言葉って、一体どこから全国的に広まるんだろうね。テレビに映る人が発した言葉がきっかけで流行語になるのはわかる。発生源が明らかだからね。それにひきかえ、こういうあるスポーツ特有の言葉だとか、若者の流行語なんてのは不思議だ。メッカと呼ばれるところがあって、同時多発的に起きるものなのかなあ。渋谷とかSNSとかで。
大学生の頃、先輩が「最高かよ」「⚪︎⚪︎かよ」と口にしていて、新しい言葉だなあ、と思った。のちに違うコミュニティでも使われるようになって、先輩すごいと思ったことがある。しかし、違う大学でもそういう言い回しがあったことを知ったので、どうやら発生源は他にあったのかもしれない。

スポーツの話に戻るけれども、小学生の頃サッカー少年団に一時期入っていた時期があった。僕はキーパーをしていた。今はどう呼んでいるかわからないが、当時はキーパーグローブのことを、キーパーてぶくろ、略して「キー手」と呼んでいた。あれが一般的だったかはわからない。
少年団なので、保護者ブースが大抵あって、そこは用具置き場や救護スペースにもなっていた。
ある時、「キー手」がそこにあることを知った僕は、走ってそこに向かい、いち保護者に「キー手ください」と言った。そのひとは、「えっ、はい」と多少うろたえて固まった。僕は、キー手が一向に差し出されないのを訝しげに思い、「あの、キー手…」と繰り返した。その保護者は、いたいけな少年のつぶらな瞳を見て、悩みを聞いてあげようと思っていたのだ。
その時を境に僕はキー手のことをキーパーグローブと呼ぶようにしたし、先日のボルダリングでもチョークのことを頑なに石灰と頭で変換し続けていた。

文化は言葉で作られると思う。ボルダリング用語はやっぱり、若者をひきつけるものがあるんだろうな。